給食のデザート

幼い頃から目を悪くした私は、周りの友達が持っているような家庭用ゲーム機を買ってもらうことがありませんでした。
当然、その時々に流行っていたゲームソフトをプレイしたのは大人になってからで、タイムリーにプレイしたことがありませんでした。

そんな私が唯一「ゲーム」と称して行っていたこと、それはテストの点数を競い給食のデザートを懸けるといった事でした。
もちろん、そんな懸け事をしていることは先生は知りません。
そしてクラスメートも知りません。
知っているのは、そのゲームに参加しているメンバーのみでした。
ルールは簡単で、4~5人くらいでテストの点数を競い、一番点数が高かった人がその日の給食のデザートを総取りできるというものです。
まず、テストの範囲やテストの日程が発表されると、誰からともなく宣戦布告しに行きます。
「今回は負けない、デザートは自分のものだ」と。
後は、デザートを取られないようにひたすら勉強するのみです。
食い意地が張っている私は、相当勉強しました。
「勉強で負ける」という事より、「デザートを取られる」という事の方が避けたい事態だったのです。
勝率は、7割から8割だった記憶があります。
一度、デザートのゼリーが私の机の上にタワーの様に積み重なり、周りの友達に怪しまれた記憶があります。
成人してから、友達に行ったところ「小中学生のうちからそんな事してたの?」とビックリされてしまいました。
でも、そのゲームのお陰で成績は常にトップクラス。
親や学校の先生は関心していましたが、その成績の励みになったのはデザートを懸けたゲームだったのです。
私が幼いころに楽しんだ唯一のゲームです。
今でも、当時デザートを懸けて競いあった仲間とは良い友達です。

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