玩具を捨ててしまって後悔した
私には6歳年上の兄がいる。
彼は小学生の頃、とあるロボットアニメのプラモデルを熱心に集めていた。
当時私は幼かったが、彼が随分多くのプラモデルを持っていたことを覚えている。
棚にプラモデルの箱がぎっしり並べられた小さなお店に行って、兄は真剣な顔でプラモデルを選んでいた。
当時はそのくらいの年齢の男の子の間にそのプラモデルが流行っていたようで、お店には兄のような男の子が何人もいた。
そんな兄もそのうちプラモデルに興味をなくし、たくさんあったそれらは自宅の物置部屋に押し込められることとなった。
そしてその存在を私は長らく忘れていた。
ある日、テレビを見ていると、そのプラモデルが未開封だととても高く売れることを知った。
両親にプラモデルのことを尋ねてみると、父が少し前に捨ててしまったと言った。
詳しく聞くと、どうやら未開封のものもいくつかあったらしい。
残念だったね、と皆で肩を落とした。
価値をわかっていれば、捨てるなんてことなかったのに。
私が小学生の頃に集めていたカードも今では価値のあるものもあるらしい。
そのカードも捨ててしまって、今はもうない。
また、玩具が販売されている当時は全然人気が出なかったのに、今になって価値が上がっているものもあるという。
人気がない故に販売数が少なく、今はプレミアものになっているというのだ。
物の価値は簡単には推し量れないのだと私はしみじみと思った。
自分にとっては何ら価値のないものでも、他の人にとっては大金をはたいてでも手に入れたいものかもしれない。
また、価値はそのときによって上がり下がりする。
何が価値のあるものなのか、どれだけの価値があるのか、結局は決めることはできないんじゃないだろうか。