美容の伝道師

高校のとき、美容専門学校に通っている年上のお姉さん的存在の友達がいた。
年に数回開催される美容コンテストの出場するためのメイクモデルを頼まれた。
練習のために学校に通っていて、それから2年間に渡って何度もコンテストに出場した。

憧れている化粧品メーカーがあり、そこへのエントリーシートに書く内容や面接練習などをがんばっている姿を見ていた。
美容界のエントリーシートはちょっと特殊で、通常のシートの加えて、その会社では自分の美容に対する世界観を表現した作品をA3の紙で提出しなければいけないという。

たとえば、エクステンションを付けるのが得意な人であれば金色のエクステを一本、天の川のように紙に配置する。
好きなメイクアップアーティストの作品を雑誌から切り取ってコラージュし、メイクに使うアイシャドウなどで風景を描く。
といったような作品だ。

本人が持っている個性やひらめきを取り入れたい企業はそのシート提出を良く見ているそうだ。
その友達も時間をかけて締め切りギリギリに提出をした。
そして、晴れて合格!一緒にお祝いをした。

彼女が学校を卒業してから2ヶ月後のこと。
百貨店のコスメカウンターに配属されたと聞いていたので、訪ねてみたらいなかった。
化粧水を買ってみたくて〜という旨を連絡したら、なんと退社したと告げられた!なんでも学生時代から付き合っていた彼との間に子どもが出来て退社したそうだ。

あんなにエントリーシートを頑張って描いていたことは同じ美容学校の彼も知っているはず。
ましてや高倍率のブランドに念願の合格したのに。
あんなに応援していた自分がばからしいというかむなしくなった。

配属されたばかりの彼女の元で化粧水を買って、少しでも売り上げに貢献できたらいいな!と思っていたのに、妊娠だなんて。
「家族計画」「人生設計」そんな言葉は美容学校じゃ教えてくれなかったみたいだ。

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