ベランダの素晴らしさ

ベランダというのは実に快適な場所である。
我が家のベランダはそう広くもないので、洗濯物を干しているときはことごとくそれに占領されるが、洗い物が少なくて洗濯をしない日なんかは、どう使ったってこちらの自由だ。

一番好きな使い方は、昼間かんかんに晴れた日に、小さい椅子を引っ張り出してきて、そこに腰掛けて本を読む。
もちろん日焼け対策は忘れない。
いくら晴れの日にベランダに出たからといって、決して日焼けをしたいという訳ではない。

夏場でも風が吹くと気持ちがいいし、何となく屋外で読書という雰囲気に酔って、ページをめくる指もすすむ。
屋内に入ったときに、日光に晒されていた目が部屋の暗さに慣れず、しばらく何も見えなくなることだけが難点だ。

それから、流星群を見るのにもベランダはよいところだ。
うちの周りにはたまたま高い建物が近くにないので空も広く、星がどの方角から流れても結構見える。

しかし、どういう訳か目の前が街頭で、余りにも明るい。
もしその流星群の極大日が月齢0の絶好の観察日和だったとしても、この街灯が満月以上の明るさなので抜群の観察条件というのはあり得ないというのが、こちらも難点だ。
ただ、空は良く見えるのでまあまあ観察は出来る。

それから、一杯やるのにもよい。
ベランダで飲むビールはまた格別だ。

それが高じて、焼き鳥や枝豆や、やきそばやらお好み焼きやらを大量に作って、ベランダで食しながら飲んだことがある。
実に楽しかった。

そうして、もし傍から見られていたとしたら、さぞかし馬鹿みたく見えたことだろう。
狭いベランダで一人宴会をやっているというのは。
けれども、繰り返すがベランダなんてものは、洗濯物という主賓がいない限りは、どう使ったってよいのである。

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