咲かないサクラ

利用しているSNSに、不審なユーザーからメッセージがよく届くようになった。
おそらく、きっかけはSNSだが、一般ユーザーを装って出会い系サイトへ誘導するつもりなのだろう。
プロフィールに女と性別も示しているのに、「さえ」「ゆり」といった名前からメッセージが届くので、最初は男性ユーザーに送っていたが、今ではランダムに送信しているんだと思う。

サクラ用のアカウントを登録して、せっせとメッセージを送る。
これを画面の向こうで行っている男か女か分からないフリーターがいるのかと思うと哀れに思う。
しかも、丁寧で「これが本当に女の子だったらマメだなぁ」と思うような凝った文面。

何百、何千、何万というユーザーに送っていると思われるが、律儀に仕事をこなしているので元は勤勉な性格の人なのかもしれない。
「もっと他に良いバイトあるんじゃないの?」と返信したくなってしまう。
このSNSにはこういったいわゆる”業者”ユーザーが少なかった。

流行してくるについれて、SNSに登録しているユーザーに一気にメッセージを送信するように業者は体制を整える。
サクラのバイトを雇い、パソコンを増やす。
こうやって、いよいよ稼ぎ時となるのだ。

しかし、ユーザーたちがあまりに業者が多いことにつまらないと感じるようになり、次第にそのSNSにログインしなくなる。
こうやって廃れていったSNSが一体どれだけあるのだろうか。
そして、また別のサービスに人が流れて、同じように業者も流れる。
この繰り返しで、本当に業者もマメである。

流行りのサービスに敏感で、先見性があるにも関わらず、やっていることは違法に繋がること。
その勤勉性を普通の仕事に活かしたら良いのに、といつも思う。
きっと業者がなくなることはこの先も無いとおもうが、もったいない能力の使い方だと呆れてしまうのだ。

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